債務整理コラム
マイナンバー制度の導入で借金問題は大きく変わる?
2015年9月、安保問題の裏でいつの間にかこっそり成立していたマイナンバー法。安保法案は現代日本の思想信条を反映したものとして大きくクローズアップされましたが、それはあまりにも大きな時代のうねりであるため、私たち個々人の生活にすぐに反映される感じはありません。かたや、いつの間にか始まっていたマイナンバー制度は、消費税に勝るとも劣らないお金の問題として、私たちの生活に直結しています。
お金の問題で一番頭を悩ませるのはもちろん債務者。そこで今回は、マイナンバーの成立によって債務者の生活がどう変わるのかを考えてみました。
そもそもマイナンバーとは?
マイナンバー制度とは、全ての国民に固有の番号を振り、個人を識別し管理しやすくする「国民総背番号制度」の、日本版の呼称のことです。日本版というからには、世界各国が「国民総背番号制度」を利用しており、その名称や内容は少しずつ異なります。
たとえばアメリカの場合、国民総背番号制度は「社会保障番号」と呼ばれ、徴税を目的に個人を特定するための制度として始まりました。
日本のマイナンバー制度の場合、目的は住民票を持つすべての日本国民および外国からの中長期滞在者に番号を与え、それによって社会保障と税の一体化を促進させることを狙っているものです。
マイナンバーは個人情報を一元管理するものですが、一般の日本国民にとってメリットと考えやすいものの一つに戸籍の管理が挙げられます。これはたとえば結婚や離婚などで名前が変わった場合でも、マイナンバーを利用擦ることで本人を容易に特定できます。このため、失踪者の特定などに役立てることは十二分に考えられます。
マイナンバー制度のデメリット
マイナンバー制度は、その横文字の響きから、一見するとさほどデメリットのない制度のように思えます。しかしその実態は、実家のタンスの裏に落ちた一円玉まで徹底管理してとにかく税収として巻き上げることが目的の制度です。
マイナンバー制度が始まると、会社に自分のマイナンバーを告げることは必須の義務になるでしょう。そうしないと経理ができなくなるからです。
勤め人にも債務者の方はたくさんおられます。すると気になるのはマイナンバーで借金の事実が会社にバレてしまうのではないかという点。
結論からいうと、マイナンバー制度で会社が個人の借金を知ることはできません。第三者が債務者の借金の総額を知るには、あくまでも債務者の許可を得て信用情報機関に問い合わせをするしかないのです。ですので、マイナンバー制度が始まって会社が使用人のマイナンバーを照会したとしても、借金の有無などを会社が知ることはできません。ただし、それはあくまでも借金の有無を知ることができないというだけの話。
たとえば債務者が借金の返済のため、会社に内緒で、夜にこっそりとアルバイトをしたとします。すると情報はたちまちマイナンバーに登録され、税の徴収対象となります。こうなると会社側は、債務者の税額が他の社員と異なることに気づくことはほぼ確実。問いつめられて芋づる式に借金がばれてしまう可能性だって十二分にあり得ます。
マイナンバー制度で生活はどう変わるのか
もっと問題になるのは、そもそもの税金や年金の未納分。会社に勤めた後でも国は平気で給与を差し押さえしてくることになりかねません。
このほかにも個人にとっては怖いことづくめのマイナンバー制度。先に述べたアメリカではこれらの問題が既にクローズアップされています。
例としては、
・アメリカへの不法入国の際の偽造身分証明として闇で売買されている
・家族のマイナンバーを利用して生活保護や年金の不正受給に使われている
・マイナンバーを売買することで、医薬品を安く手に入れたり、医療費を水増ししたりといった犯罪が横行している
これらを見るだけでも、たとえば闇金業者のような連中がよだれを垂らしかねないカードであることもすぐにわかるはずです。
マイナンバーの施行と同時にさまざまな問題が浮かびあがってくることが今から予期されます。