債務整理コラム

一億円の吸い殻

現実を変えるにはエネルギーがいります。借金を抱えて返済に悩んでいるあなたはきっと「いつか債務整理をしなければ」とか「次の取り立てのためにもっと仕事を増やさなければ」とか、もう少しあいまいになると「借金を返さないと。わかってはいるけれど、でも……」という意識が働いていることでしょう。

「いつか債務整理をするわたし」や「来月・来週になったら働き出すわたし」という、頭の中で描かれた自分はスーパーマンです。借金の整理についてもきっちりとこなし、司法書士顔負けの法的な知識を持ち合わせ、サラ金の取り立てにも毅然とした対応ができる。仕事についても、身なりをきちんと整えてハローワークや役所にしっかりと顔を出し、履歴書も完璧で、面接の受け答えも人事課が舌を巻くほど。もちろん就職後はバリバリと仕事をこなしてたちどころに借金を返しているはずです。

でも、現実の自分はそうじゃない。どれくらい掃除をしていないのか、黄ばんで壁紙の染みも古びた安アパートの一室。その中で、生ごみとタバコの吸い殻とビールの空き缶が転がっているかもしれません。電気や水道の支払いに頭を痛めつつ、スマートフォンで検索するのは「審査の甘いキャッシング」。そうして扉をドンドンと叩かれて「◯◯さん、家賃払ってください」「◯◯さん、借金の返済をお願いします」の声にひっそりと息を潜める日々かもしれません。

こんな自分とバリバリ働いている頭の中の自分。その落差を考えるだけであなたはきっと途方に暮れてしまうことでしょう。

もう一度いいます。現実を変えるにはとてつもないエネルギーが必要なのです。

では、そのエネルギーを作るにはどうすれば良いか。以前のコラムで「借金の返済が苦しくなると部屋も汚くなる」といった趣旨のお話をしました。では、借金の返済ができるようになるためには何をすべきでしょうか。

答えは「今」あなたにできる最善のことです。それは「審査の甘いキャッシング」を調べて次から次へと申し込みをすることではありません。闇金業者に融資を頼んでみることでもありません。

あなたが今やるべきこと。それは目の前に落ちている空き缶一個、もしくはタバコの吸い殻一本、それでなければ雑誌一冊。たったそれだけを片付ける。それだけなのです。

タバコの吸い殻一本、たった一本だけならば毎日片付けられますよね? 雑誌一冊ならば片付けられますよね? 

ただし、大切なことは「それを毎日続ける」こと。

実は、この最初のタバコ一本、雑誌一冊を片付けるエネルギーは凄まじい労力を必要とします。どれくらい凄まじいかというと、一億円以上の価値があるといえるでしょう。

なぜか。毎日タバコ一本「だけ」を片付けていけば、数日後にはタバコ一本ではなんだか物足りなくなるのです。慣れればエネルギーに空きができます。するとその分、タバコ二本、タバコ三本、すぐに片付けられるようになります。

保証します。毎日タバコの一本の片付けをしてみてください。数日もすればタバコの吸い殻の片付けだったはずなのに、いつの間にか片手に大きなゴミ袋を用意するようになります。その後は掃除機を持ち出し、雑巾をかけだし、部屋の中の電球がきっと明るくなるでしょう。閉じられていたカーテンやブラインドがいつの間にか開け放たれ、新鮮な風が頬をくすぐるようになります。

このあたりになると自分が変わってきたことを実感するはずです。早ければ三週間もかかりません。この後はもう雪だるま式に事態は好転してゆきます。そう。融資をする債権者はもらえる利息がどんどん増えてゆくように、生活が驚くほどの速度で向上してゆくのです。

その頃になると「鬱陶しい借金の取り立て」への捉え方が変わります。逃げまわるのではなく、これをどう掃除すれば良いかへと意識が変わるのです。そのために必要なものは、いうまでもありませんね。債務整理です。

誤解をされては困りますが、別に債務整理をするところに意識を持ってゆけというわけではありません。もしかしたら自分なりにもっと良い借金の解決方法があるかもしれません。

しかしいずれにせよ、最後にそびえる「借金」という壁を突き抜けたその瞬間、驚くほどの青空が目前に広がることを実感するはず。

小さなちいさな、吸い殻一本から始まるこの努力。実はビジネスも同じです。僅かな差が果てしなく転がって利益を生み出してゆく。だからこそ、吸い殻一本を片付けるエネルギーは一億円もの価値があるといえるのです。

今目の前にできる小さなこと。これを毎日やってみましょう。きっと驚くような成果が得られるはずです。

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