債務整理コラム
天網恢恢疎にして漏らさず 2
借金を周囲に押し付け、自分は開き直り、さらなる借金を重ねる。このような人の末路は大体決まっています。
借金から逃げまわると言うことは次第に信用がなくなることと同じです。それにつれて周りの人々は債務者を疎遠に扱いだします。このため、債務者がさらなる借金をしようにも、結局は顔も見たこともないような零細のサラ金頼みになってしまいます。あげくの果てにはどこかの債務整理業者に頼み込んで自己破産を行う流れになるでしょう。
借金の目的が遊興費の場合などは免責が降りません。しかし、このように踏み倒しを繰り返して周囲に借金を周囲に押し付け続ける人であっても、もし運良く何がしかの理由で自己破産の免責が降りたとしましょう。
するとどうなるか。
このような人は人生の再建になどまるで目を向けません。そんなことは思いつきすらしないのです。彼らは今まで何度も親しい人に諫言されても、いわゆる「逆ギレ」をするようなタイプです。ましてや、さして親しくもない弁護士・司法書士にそんなことを言われてもまったく聞く気もありません。そのかわり「自己破産と言うのはすごいな。繰り返し自己破産をすればいくら借金をしても平気じゃないか」と目を輝かせるのです。再度の自己破産手続きは七年を経なければ行えないことを伝えても、心のどこかで彼らはやはり同じことを思うようです。
この結果、返済を開き直る人はほぼ必ず、再び借金地獄へと落ちてゆくのです。その期間は三年もかかりません。この場合の負債の原因は大抵が遊興費。とは言え、周囲の家族・友人・知人はおろか、銀行もサラ金業者ももはや融資はしてくれません。となるとヤミ金をはじめとする各種の金融犯罪者から融資を受けたり、また知らない人をだましたりと言うような、半分詐欺まがいの行為でお金を借りると言った流れになります。
自己破産が行えないと言う状態は一種の極限状態です。ましてやその期間、犯罪まがいの行為で借金をしたのであれば、どうなるかは想像するにたやすいものです。よしんば七年を経過したとしても、そのような自己破産は裁判所の心証が著しく悪いため、まず免責は降りません。法律はそのような自己中心的な考えばかりの、社会に甘えた人間を許さないようにできているのです。このため、免責が不許可となった結果、彼には借金だけが残ります。社会が彼を見捨てるのです。
社会に迷惑をかけ続けた人が、社会から見捨てられる。口で言うのはたやすいことです。しかしその瞬間、どうなるか。今まで彼が口先三寸でお金を借り続けてきた金融犯罪者やそのスジの人たちが、まるで汚い虫たちが、死にかけた獲物に一斉にむらがるように彼に食らいつくのです。根こそぎ貪ります。その勢いたるや骨も残りません。
惨劇に直面した債務者は、まるで悲鳴のように周囲の知り合いたちに、かたっぱしから電話をかけて助けを求めます。しかし、これまで迷惑をかけられ続けた家族も、友人知人も、会社の人々も冷たい笑みを浮かべるばかり。警察ですら「民事不介入」を理由に、彼に手を差し伸べることはありません。ただ、突き放した目でその人が貪られてゆく様を見ているだけなのです。
最終的に、自分のことだけを考えて周りを苦しめてきたその人は、運が良ければ刑務所ゆきに、そうでなければ行方不明になることでしょう。
天網恢恢疎にして漏らさず、と言います。繰り返しますが、思いやりを持って相手の立場に立つと言うことはとても大切なことです。どうしても借金が返せず、連帯保証人になってくれた人に止むを得ず、迷惑をかけてしまうことと、最初から返すつもりもなく周囲を苦しませることはまるで別物です。
人に借金を押し付けて素知らぬ顔をするような行為だけは厳に慎みましょう。
天に唾すれば、いずれ必ず我が身に跳ね返ってきます。