債務整理コラム

忙時山我看〜あなたの意識で世界は変わる〜

誰しも小さな頃、学校の先生から「目的意識をしっかりと持つように」と教えられたことがあるはずです。目的意識と言うと何となく難しく聞こえますが、要するに「将来どうありたいのか」を明確に思い描けと言うことです。

借金を負うと意識が狭まります。借金の返済日までにお金を工面することに気持ちが向けられてしまうためです。もしうまくお金が工面できれば、その後はほっと一息ついてぐったりとしてしまうことでしょう。もし工面できなければサラ金から矢のような催促が始まります。多重債務の方ならば返済できたとしてもすぐ次の返済日が迫ってくるため、気力が尽きれば即座に滞納になってしまいます。

これではどのようなパターンであったとしても、いずれは借金の返済ができず、苦しくなってきてしまうことは間違いありません。では、この問題をどう切り抜ければ良いのでしょうか。

温故知新と言いますが、ときに古代の賢人の箴言を探ることで私たちは人生に新しい希望の光を見出すことができます。

次のような漢詩があります。

忙時山我看
閑時我山看

忙しいとき、山が私を見る
時間にゆとりがあるとき、私が山を見る

単にこれだけの言葉ですが、よくよく考えるとここに借金地獄からの脱出の糸口が見いだせます。

私たちは忙しいとき、目前の事柄に気持ちを奪われます。借金の返済で大変であれば、目前のお金をどう作るかでてんやわんやになることでしょう。その後のことまで考える余裕はありません。このとき、遥か遠くにそびえる自分の将来や大切な周囲の人々、人生において達成したい事柄などは黙って自分を見下ろしています。

こう想像するとわかりやすいはずです。遮るもののない広大な荒野の真ん中を、旅人であるあなたはとぼとぼと歩んでいます。このとき、何がしかの理由で自分の足元に気を取られ、四苦八苦していたとしたらどうでしょう。その間、遥か天涯に聳える人生の目的地、峨峨たる山嶺は泰然と聳えつつ、静かにあなたを見つめているのです。

しかし、もし今この瞬間において足元の問題が綺麗さっぱり消え失せて、あなたの身を束縛する何者をも消え失せたのであれば、あなたはビョウビョウと吹き荒れる荒野においてマントに身を包み、おぼろに揺れる熱気の向こうに聳える壮大な険峻に目を向けつつ、それでも確かな足取りで目的地へと歩んでいることでしょう。たとえそれが一年間歩み続かねばならない遠方であったとしても、世界の誰もが無理だとあざ笑うような苦難の道のりだったとしても、目的に向けた目を逸らさない限り、やがてはそこにたどり着くはずです。

意識の持ちようによって世界はたちどころに変わります。この意識の持ちようこそが「目的意識」にほかなりません。それでも、借金問題はやはり苦しいもの。目的を人生の大設計に合わせたところで目前の借金がどうこうできるわけではないのです。

では、それをどう乗り切れば良いのか。それには「目的」のほかに「目標」を意識することです。混同されがちですが、目的と目標は違います。富士の一合目から徒歩で富士山の山頂までたどり着くことを目的とするのであれば、どう逆立ちしても富士の樹海を歩まねばなりません。となると直近の目標は「樹海」となります。

富士の樹海は苦しい道のりです。コンパスが効かないと言われる場所もあるでしょうし、地図があっても迷うことだってあるかもしれません。夜は恐ろしく、食料の問題が生じることだってあるかもしれないのです。このとき、目的を見失ったらどうなるでしょうか。足元を見つめてとぼとぼと歩くだけで、やがては同じ場所で延々とぐるぐる回り続けるだけになります。

しかし、目的がはっきりしていれば違います。目的地を確認しようと言う意識があれば、私たちは多少開けた場所で目を上げることができます。するとそこには麗麗たる富士がいつでも鎮座ましましているのです。となれば、私たちは再びそこに向けて歩み出すことができるはず。

借金の返済が苦しいとき、多重債務で返済日に余裕がないときも同じです。もう一度自分の内面を見つめなおしてみてください。借金に見つめられていないでしょうか。意識が呑まれていないでしょうか。もしあなたが人生の目的を明確にすれば、借金を見つめなおすことができるはずです。

そしてもう一つ。富士の樹海に迷ったときでも、国は富士山に至るまでの道路を整備しています。ジャングルなどに足を踏み入れてみるとわかりますが、私達が日常、当たり前のように利用しているこの道路と言うものがいかにありがたいかよくわかります。この富士山までに至る一本道。これこそが債務整理なのです。樹海を歩んで心と身体を鍛えながら富士山まで歩むことも大いに結構ですが、もしそれが厳しいと感じるのであれば、道路を利用するように国が定めた法律を利用しましょう。いざ債務整理と言う道路を利用してみると「こんなに楽なものだったのか。今までの苦労はなんだったんだろう」とびっくりすることになるはずです。苦しい「目標」を楽々クリアするための手段を国はしっかりと用意してくれているのです。

債務整理を利用することで、富士の山頂から臨むご来光を一身に浴び、人生の本当の輝きをどうぞ感受していただきたいものです。

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