債務整理コラム
多重債務に陥った、さあどうしよう。
多重債務に陥り、返済ができなくなった方は、概ね2つに分けられます。すなわち恐慌状態に陥って、友人・知人や親戚をあたって誰彼構わず借金を重ねるパターン。そしてもう一つは開き直って放置してしまうパターン。しかしながらこの両者は実は同じ思考によって成り立っているのです。つまり「今目の前のことさえしのげれば、後はどうでもいい」と言う考え。これでは同じ事の繰り返しです。加えて借金は時間の経過に伴ってどんどん増えてゆくため、場合によっては夜逃げと言う最悪のパターンへと発展しかねないのです。この辺りの心理については以前のコラムに詳細いたしましたので、ぜひご参照ください。
さて、今回は「多重債務に陥った際に何を考えるべきか」と言う指針についてです。もちろん目的は借金生活からの脱却ですが、その際に抑えるべきポイントが幾つかあります。
それは、
1)視野を広げること
2)デジタルに物事を割りきらないこと
この2点です。
具体的に述べてみましょう。
1)視野を広げること
多重債務に陥ったAさん。もはや借りられるあてもない状況になり、返済期日は刻々と迫ってきます。このときに頭を過ぎるのは居座り、もしくは夜逃げ。ときには自殺なども脳裏を過ぎってしまうかもしれません。しかしこのときに視野狭窄に陥らず、一度視野を広げてみるべきです。人生を仮に80年だと過程するのであれば、債務整理を行って一時的にクレジットカードが使えなくなったり、ときに財産と引き換えに借金をすべてリセットしてゼロからやりなおしても問題はないのではないでしょうか。人生再建の期間など長くて5年。現金できっちりと生活をし、何がしかの仕事に就くことだけを考えれば再建の出だしには半年もかからないのです。加えて過去を振り返ってみてください。これまでに味わった辛い期間と比較すれば、債務整理などは遥かに楽なはずです。それを考えたら夜逃げも自殺もばかばかしくなることは保証します。
「一人の人間」とは一生の長い時間を全部ひっくるめてようやく「一人の人間」となるのです。もちろん、債務整理後に何十年となく稼いでゆく金額は、今の目先の借金の何倍をも稼げるのです。それを些少な金額の借金ごときですべて不意にしてしまうことはもったいないとしか言いようがありません。ですので、今後何十年もの先まで考えて、まずは視野を広げてみましょう。気持ちも大分楽になるはずです。
2)デジタルに物事を割りきらないこと
1)で視野を広げてみた結果、落ち着きを取り戻すことはできます。しかし落ち着いた後、理性的に物を考えると、何事に対しても「イエス」か「ノー」で割りきってしまいがちです。例えば紙を持ち出して今できる自分の精一杯のアイデアを次から次に書いてみること。それ自体は素晴らしいことです。しかし同時に片っ端からそれらにバッテンをつけていくと段々と落ち込んできてしまいます。自分にできることなど何もないんだなと思ってしまうことでしょう。ところがそれが大きな間違い。人間社会は論理的にイエス・ノーで割り切るものではありません。論理的に考えた結果「イエス」を目指してできそうもない行動に死ぬ物狂いで取り組んでみたり、逆に少しは可能性がありそうなのに「ノー」と判断してすぐに見放してしまったりすることも生じてしまうはずなのです。
債務整理を日々行なっているとよくわかりますが、債務整理とは「交渉」であり、「交渉」とはすなわち「戦い」です。できそうもないところに活路を見出す必要はありませんが、できそうな間口を広げることはできるはず。例えば「ここまでなら自分で交渉できそう」とか、もしくは「ここから先は無理だとわかった。じゃあ債務整理業者に頼もう」と言う手段もあるのです。
また、逆の方法もあります。自分の生活を見直してみたり、いらないものを売れるように考えてみたりと手段は幾らでも出てくるはず。それでもどうしても返済できないのであれば、返済できないサラ金業者だけを選定し、任意整理を行ってしまえば良いのです。
このようにすべてを「破産」もしくは「夜逃げ」や「自殺」などのように極論してしまう必要はありません。まずできるところから手をつけてみましょう。よく考えて行動するくせをつけていけば、気づいたときには一番大きな問題であった「あなた自身」が変わっていることに気づくはずなのです。